ここではコーポレートキャラクター制作について、
あまり馴染みの無いBtoB企業で開発した事例を中心に、
その意義や効果を徹底解説します。
これから導入をご検討に企業様は、ぜひ参考にされてください。
1. コーポレートキャラクターのポジショニング
●企業のキャラクター活用現状
一般的にはキャラクターというと、一般消費者向けマスコット的存在が多いように見受けます。
それはやはりBtoCビジネスの一般の個人消費者向けの象徴的存在だと言えるからでしょう。
一般的コーポレートキャラクターやマスコットと言えば、「ぴちょんくん」、「ポンタ」、「SUUMO」など、やはりエンドユーザーを対象としたものが多いのが実情です。
ダイキン株式会社では個人ユースと法人ユースがありますが、このぴちょんくん、あくまでも個人ユースへの起用です。
そういった中で、企業間取引主体の企業で、この企業キャラクター、コーポレートマスコットがはたして役に立つのか?ビジネスに何らかの有益性があるのか?
この点は、この記事の中盤以降の弊社導入事例の紹介で詳しく触れていきますが、
実は様々な営業、広報、採用等の企業活動において、非常に有用性が高いと言えます。
●普及度は限定的
とは言え、BtoB企業において、その普及度はまだまだ一掴みの僅かなレベルです。
それは以下の事情からと考えられます。
一つは、キャラクターに求める効果は、一般個人の人気取りのレベル。個人相手ではないBtoB企業は、そのような個人の評判や人気さ加減で、自社が取扱う製品やサービス販売にほとんど影響しない。
製品やサービスの評価は、その製品力やサービス力、差別性や優位性に外ならず、いくらキャラクターの人気が上がっても、取扱い製品やサービスの販売に影響することは限定的。
二つ目は、BtoBを前提とした企業の購買行為には、個人的感情は介在せず、あくまでも企業として客観性をもって厳しく審査することが求められる。企業の看板を背負っている以上、恣意性を排除し、企業の利益や価値向上に資するべきで、キャラクターの印象性や存在感によって、取引関係に影響を及ぼしすことはありえない。
その他あると思いますが、これらの二つの要因にて、企業間取引をする企業においては、企業キャラクターの存在はポジティブではないのが現状のようで、その普及度は決して多くは無いと言えます。
2. BtoB企業のキャラクターの存在価値
●BtoB企業でも存在感
これらのことから製造業、商社、システム開発企業、建設業、コンサルティング会社等のBtoB企業では、コーポレートキャラクターやマスコットの導入には積極的ではなく、むしろ必要性さえ全く感じないというのが実情でしょう。
しかしながらBtoB企業のキャラクター、意外と企業活動において大変有用性の高い効果を発揮します。
特に外から見えにくい原材料や素材産業などハードなBtoB企業でも、様々な企業活動の中で、この企業キャラクター、マスコットがなかなかの存在意義を示しています。
このことは後半の事例研究にて紹介していきたいと思います。
●ブランディングとしてのキャラクター
そのキャラクター、マスコットの存在価値、その一つはブランディングです。
そもそもブランディングは、無形資産という、企業、製品・サービスの他社・他社品との違いを、マーケットのユーザーや顧客に認識させ、それらが選ばれる、或いは好感を持たせる心理的優位性を形成するために、広報・広告、販売をする企業活動です。
その定義からすると、BtoBだろうが、BtoC、BtoGでも、その基本概念は変わることはありません。
つまり企業や製品・サービスが保有する独自・固有の無形資産の概念を、コーポレートキャラクターに込め、表現するものです。
企業の特徴、製品の独自性、サービスの差別性など、もっと言うと企業のルーツや生い立ちなどのCI的要素も含め、それらを象徴する要件を備えた、或いは再現した親しみのあるキャラクターで表現するものです。
それは擬人化だったり、動物の比喩表現として、キャラクターという化身にその魂を移入し、ブランディングを可視化する手法と言えます。
●意外と多いその用途
エンドユーザーに近いBtoB企業
わかりやすいところでは、BtoBの中でもよりエンドユーザー・個人に近いビジネスでは、このキャラクターやマスコットが導入しやすいと言えます。
例えば、加工食品を製造する食品メーカーの場合、一次の取引先はコンビニチェーンや量販チェーンです。つまりBtoB取引となりますが、コンビニやスーパーで棚に陳列され、販売はメーカー出荷製品がそのまま販売されるわけで、それが直接エンドユーザーが手にとって購入します。
この場合、比較的エンドユーザーの消費者に近いため、むしろ製品イメージのキャラクターやマスコットは有効なのはお分りいただけると思います。
前述の「ぴちょんくん」もダイキンエアコンの製品は消費者直販はせず、家電量販、電気店を通じた販売チャネルですので、同様のBtoB商取引形態と言えます。
採用活動
どんなにハード系のBtoB企業でも、この採用活動はビジネスではありませんが、少々視点を変えて見るとBtoCとも言えます。
就活の大学生、高校生、中途採用でも比較的若い求職者が対象です。
つまり【企業】to【就活生・求職者】。
同業他社や他企業との差別性を打ち出すため、企業ブランドを込めた企業キャラクターやマスコットは、就活生・求職者へ企業の存在を伝えやすく、視覚的な印象効果として、親しみ、愛着、好感というブランドイメージを訴求しやすくなります。合説ブースでのキャラクター演出は一時お休み(コロナ禍)ですが、Webサイト、採用サイト、採用パンフレットで大活躍します。
これも後半の事例で紹介していきます。
展示会・イベント
IT、エレクトロニクス、半導体…等、BtoB企業は様々な展示会、ビッグイベントが開催されていますが、新たな企業間取引の機会として、常に多数の企業が出展しています。
ここでは様々工夫され、華やかな企業ブースが軒並み並びます。例えばこの場面で、企業キャラクターを全面にフィーチャーしたブースデザインにすると、会場での集客効果を高めます。
ただ、現在は採用合説と同様、展示会のあり方も大規模、大集客から一旦オンライン開催などになってますが、収束後では活躍の機会が復活します。
社会活動・地域活動
企業の広報・PR活動の中で、今や一般的に欠くことのできない活動となった社会活動、地域活動があります。いずれも企業イメージ向上の広報機会ですが、環境活動ではサイト上でキャラクターを登場させたり、社会見学や地域交流の一環とした工場見学・招待でも、このキャラクターやマスコットのスタンドパネルを入口に設置し、出迎える演出などはとても好感度を高める効果があります。
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では次項で、弊社で開発したBtoB企業のキャラクター、マスコットをご紹介します。
当事例は当サイトの「ブランド戦略」の記事中でご紹介した制作実績ですが、
ここでは「企業キャラクターづくり」の切り口でご紹介します。
3.【事例紹介】弊社開発の企業キャラクター・メディア展開
『伝説の電設マン』|井上株式会社様《電設工事・電気システム開発事業/京都府》
●導入展開の経緯
創業70年を経過し、京都府福知山市の地場優良企業として、ご当地発展に大いに貢献してきた企業。
成熟した企業でありながら、その事業内容から京都、北近畿地方でも知名度は決して高いとは言えない。
その中において、若き2代目社長の井上様、従来の事業に加え、次々と関連事業、IoT等の新事業を打出し、経営スピードの強化を図っている。それに伴い、展示会出展、業務アライアンス等、京都を拠点として、日本全国へ向け急速な広がりを見せている。
当然、企業間取引の営業活動、広報活動に加え、人材の獲得についても経営課題として一気に浮上。
優秀な人材を求め、本格的な採用活動を展開。京都市、大阪市等の主要関西地域でも企業説明会、合同説明会を実施。
これらのスピード経営は、一方で社員の意識改革や理解醸成の必要性も浮上することとなった。
以上のことから、営業活動、広報、採用活動に加え、社内を対象としたインナーブランディングの必要性が高まり、直面する課題となった。
そこで地方発信の成長企業として、自分たちを表し、存在価値を示す、何らかの証がほしい、という機運が高まり、自分たちの化身とも言え、事業の様々なシーンでマルチに活かせる企業キャラクターの検討となった。
●開発のコンセプト
「自社の化身」といっても前述の通り、北近畿地方という一地方都市。
お世辞にも一般には知られていない。
しかしながら、事業内容の特徴を捉え、そのルーツに根ざし、むしろありのままをキャラクターづくりのコンセプトに仕立てることとした。
企業活動 | ターゲット | キャラクター活用イメージ | 展開媒体・ツール |
採用活動 | 大学生・高校生 中途求職者 |
企業説明会、合同説明会 | 採用サイト、採用パンフレット、採用ブース演出、ぺーパーバッグ |
ビジネス・ 営業活動 |
大学生・高校生 中途求職者 |
展示会、商談 事業戦略 |
展示会、媒体での露出展示会ブース、コーポレートサイト、会社案内 |
社内 | 社員、その親族 | 社内活動、社内表彰、人材教育プログラム | 表彰トロフィー、多目的シール |
地域交流・ 実験農業 |
地元住民 | 地域市民交流、地域活性化プロジェクト・農業プロジェクト | プロジェクトロゴ(ブランド)、専用Webサイト |
この結果、アウトプットイメージ、キャラクターイメージを定義付けていった。
【与件整理とアウトプット】
与 件 | アウトプットイメージ | キャラクターイメージ |
社会情報インフラに貢献する電設事業だが、オモテ舞台で可視化できる仕事ではない | 「黒子」的存在 | ▶️ 忍者 |
地域で知名度は高くないが、70年の歴史 | 伝説 | ▶️ 忍者 |
【キャラクター命名】
伝説の電設マン
以上を踏まえ、それぞれのターゲットに向け、様々な媒体・ツールに落し込み、展開をしていった。
以下、
コーポレートサイト、
コーポレートサイト内のIoT情報ページ、
採用サイト、
採用パンフレット、
採用ブース・ポスター、
人材教育制度サイト、
アニバーサリーロゴ・中期事業計画のメッセージロゴ、
の順で紹介してまいります。
●メディア展開-01【コーポレートサイト】
モニター内をスクロールするとページ全体をご覧いただけます。
●メディア展開-02【採用企業説明会演出ツール】
●メディア展開-03【採用サイト】
●メディア展開-04【採用パンフレット】
●メディア展開-05【人材育成プログラム「iアカデミー」版キャラクター】
●メディア展開-06【アニバーサリーロゴ・スローガンロゴ】
最後の作品紹介です。
同社様の創業70周年を記念するアニバーサリーロゴ、また中期事業戦略のコーポレートスローガンの「BE」(Beyond Expectation!)=『期待を超える!』。この主張を電設マンの忍びのシャープなアクティビティさを活かして表現。
総 括
弊社の提案、進言もさることながら、自社の化身となるコーポレートキャラクターに寄せる同社の想いは、一方ならないものがある。
『伝説の電設マン』を同社の事業を取り巻く様々なシーンに登場させ、広域で積極的に起用させる姿勢は、一途にローカルからリージョナルに、さらにナショナルレベルに、そのビジネスの拡張性、発展性を発信していく志の強さ。
つまり日々進化を遂げる地方発企業の埋もれたパワーとポテンシャル、さらに自力で推進するモチベーションを、同社の化身としてコーポレートキャラクターの『伝説の電設マン』に託して社会に見える化し、そのプレゼンスの価値を発信していくもの。
とは言え、単なる出しゃばりと自己顕示欲の意識は、そもそも同社様にはそぐわない。
このような奥ゆかし京丹後地方出自の企業だけに、忍びの者、しかも童(わらべ)に託すことで変なシリアスさを避け、むしろ親しみや愛らしさを自社の化身とすることはこの企業ならではの主張だろう。
企業キャラクターはじめ、各メディア・ツール、施策のプロデュースにあたった弊社だからこそ、そのインサイトが読み取れ、ここまでのアウトプットを実現できたのだと自負する。
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